【E pur si muove】それでも、それは動く④

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【骨盤矯正?え?】仙腸関節アプローチをサイエンスと神経から読み解く』という批判動画への反論、その④です。

その①はコチラ

その②はコチラ

その③はコチラ

別の仙腸関節批判動画への反論はコチラ

 

なぜそんなに執拗に反論するのかって?

それはここで使われる「サイエンス」って言葉に簡単に振り回されるのが嫌だし、仙腸関節に関しては本当にそれ(サイエンス)は正しいのかと、ずっと疑問を持ち続けているからです。

それに私は、サイエンスから批判にさらされる「骨盤矯正」で生計を立てていますし、それを私塾で広めて受講費をいただいているわけです。

そうした「批判」に反論するのは当然の「義務」だと思う。

 

骨盤矯正など医学から見たら邪道だということは十分自覚していますが、仙腸関節にはそうした批判を跳ね返すほどの魅力があるということを胸を張って伝えていきたいので、批判からも議論からも逃げたくないってことです。

ということで、今回も批判の根拠とされる論文を私なりに検証し、この動画への反論を試みたいと思います!

 

こうした批判を認めるということは、それはすなわち「敗北」を意味する。

オタクたるもの、この程度の批判、断じて認めるわけにはいかない!!

 

では早速、「仙腸関節の機能異常(以下SIJD)の検出法として広く利用されている4つのテストの信頼性は低い」と結論付けたこの批判的な論文から。

Evaluation of the Presence of Sacroiliac Joint Region Dysfunction Using a Combination of Tests: A Multicenter Intertester Reliability Study(Riddle DL, Freburger JK. 2002)

認めますっ!(おいコラ!)

いやホントにね、仙腸関節(に限らず脊柱全般)の検査って、難しいっすよねぇ。

正直申し上げて私、モーションパルペーションですら怪しい(もちろんそこには理由があるんです)。

なので残念ながら、ここはほぼ同意。

しかしね、それでも「全面的に支持」とはいかない。

 

これはCibulkaがSIJD検出方法の検者間信頼性を検証した下の先行研究に対する「追試(再現実験)」です。

著者のRiddle、そういうのが好きっぽい。

Changes in Innominate Tilt After Manipulation of the Sacroiliac Joint in Patients with Low Back Pain An Experimental Study(Cibulka MT, Delitto A, Koldehoff RM,Physical Therapy,1988)

 

そこで採用された検査法は以下の4つ。

Standing flexion test

立位前屈時に片側のPSISの頭方への移動を観察するポピュラーなもの。

移動した側が陽性(同側が可動性低下と判断)。

Prone knee flexion test

伏臥位での下肢長検査。

膝関節伸展位と屈曲位での下肢長の変化を観察。

伸展位と屈曲位で左右の下肢長差に変化(逆転または均等)が起これば陽性(変化のない場合は陰性)。

伸展位での短下肢側が膝関節屈曲で変化した場合、同側の寛骨後方傾斜(tilt)側と判定。

Supine long sitting test

仰臥位と長座位での下肢長の変化を観察。

変化があれば陽性。

仰臥位での短下肢側が長座位で長下肢となる場合、同側寛骨の後方回転と判定。

Sitting PSIS test

座位でPSISの位置を比較し、低い側の寛骨が後方に傾いていると判断。

この①~④のうち、少なくとも3つが陽性なら「SIJDと判定」したとのこと。

(『Clinical Usefulness of a Cluster of Sacroiliac joint Tests in Patients With and Without Low Back Pain Cibulka MT,Koldehoff.R,Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy,l999.』も参照。)

 

さらに機能障害有りと判定された患者は、治療を受けるグループと受けないグループに分けられ、最終的な骨盤の傾斜角度の計測から相対評価もなされています。

結果は信頼性を表すCohenのカッパ係数で0.88と高い値を示しています(数値が1に近づくほど信頼性が高い。0.88は「ほとんど一致」)。

 

この研究結果を真っ向から否定したのが上のRiddleの論文です。

Cibulkaの「トレーニングされた2人のセラピストが26人の有訴者を対象」に行った研究に対して、Riddleは、Cibulkaと同様の検査を「研究で調べたテストを見たか、使用した可能性が高い(データなし)34人のセラピストと65人の有訴者を対象」に追試したもの。

その結果は

個々のテストのカッパ係数は0.19から0.37。一致率は44.6%から63.1%

複合テストの結果では、カッパ係数は0.11から0.23。一致率は60%から69.2%

と惨憺たるもの。

 

ちなみにカッパ係数の区分けは以下の通り(「井出草平の研究ノート」より)。

【Landis and Kochの基準】

0.0〜0.2 わずかに一致(slight agreement)
0.21〜0.40 まずまずの一致(fair agreement)
0.41〜0.60 中等度の一致(moderate agreement)
0.61〜0.80 かなりの一致(substantial agreement)
0.81〜1.0 ほぼ完全、完全一致(almost perfect or perfect agreement)

【Krippendorff の基準】

0.67未満 評価しない(discounted)
0.67〜0.80 不確かな結果(conclusions tentatively)
0.80以上 明確な結果(definite conclusions)

計算方法は、もちろん私には理解不能(笑)。

 

それにしても、RiddleとCibulkaの研究結果はあまりにも差が大きすぎます。

なぜでしょう?

個々のテストの一致率は高くて63.1%(Sitting PSIS test)ですから、検査としては必ずしも有効とは言えません。

その他のテストもモーションパルペーションなどに比べると難しいとは思えませんので、ちょっと意外な気もします。

ま、もともと私、この検査法信用してませんけど。

 

この論文で否定されているものは二つ。

一つは検査法自体の信頼性

もう一つは検査の判定(検者の判断)に対する信頼性

 

検査の判定に対する信頼性とは個々のセラピストの触診能力への信頼性ですから、当然統一できるものではありません。

それは実験における前提条件に関わる重要な要素であり、その実験の精度にも関係してきます。

機器を用いた計測が機器の精度に依存しているように、ヒトが行う計測は検者の精度に依存しています。

こういう研究って、そこをどう担保するんでしょうねぇ?

 

私はこの検査法を信用していないと述べましたが、その理由を簡単に説明しときます。

Standing flexion test

これは左右の荷重のバランスで変わります。

前屈動作中、左右の荷重配分が均等であるという保証はどこにもありません

Prone knee flexion test

伏臥位の下肢伸展位では、たいがい利き足側が短く見えます

片側の膝や股関節の変形、解剖学的短下肢などがあると、これは使えません。

なので私、下肢長差は気にしません

Supine long sitting test

下肢長を気にしない私には、これがどの程度の信頼性があるのか分かりません。

そもそも短下肢と仙腸関節変位に関する既存の理論が信用できない

Sitting PSIS test

これも腰仙部の屈伸荷重のバランスで変わると思います。

 

この論文では、この4つの検査法が否定されているだけのこと。

どうってことない。

私ならもっとスマートに否定できる(笑)。

そして、なぜこうした現象が起こるのか、論理的な説明もできるけど。

 

次。

Clinical tests of sacroiliac joint.(van der Wurff P, Meyne W, Hagmeijer RH. 2000)(概要のみ)

これも上と同じで、「仙腸関節の検査法(可動性・疼痛誘発)の信頼性は低い」という内容です。

私もそう思います。

もうね、20年以上前から疑ってます。

たぶん一度も信じたことありません(笑)。

だから自分で考え続けています。

ちなみにこの著者のその他の論文もみてみると、疼痛誘発系のテストを複合的に用いる方法を推奨しているようです。

私から見たら、そこが痛いと分かっても、その次の判断が出来ないとどうしようもないって思う。

 

この論文には Part 1と Part 2があり、ここで参照されているのがどちらなのか分かりません。

Part 2は全文が見つからなかったので 、Part 1「Clinical tests of the sacroiliac joint. A systematic methodological review. Part 1: Reliability.(van der Wurff P, Meyne W, Hagmeijer RH. Manual Therapy . March 2000)」からこのレビューがどのテストを対象としているのか確認してみました。

疼痛誘発テストとして「Gapping or distraction test 」「Compression test」「Gaenslen test 」「Sacral thrust」「Thigh thrust」「Cranial shear test」「Patrick’s sign」「Flexion-adduction hip」。

モビリティテストとして「Overtake phenomenon 」「Spine test 」「Lateroflexion test 」「Gillet test 」「Sitting flexion test」「Long sitting test」「Translation SIJ 」「Prone knee flexion test 」「Maitland test」。

この17種のテストが含まれる11本の論文を精査した結果、「『Gaenslen test 』と『Thigh thrust』(どちらも疼痛誘発テスト)以外のテストは信頼性が低いことが確認できた」とのこと。

 

私もそう思います。

ちっとも信頼できない(笑)。

これも先ほど同様、これらのテストが否定されただけのこと。

別に困らないの。

使わないし。

 

こうした検査法を信じているセラピストにとってこのような結果は目を背けたくなるのかもしれませんが、これらをはなから信じていない私のようなひねくれものにはむしろプラスに働く。

ほら、やっぱりこの仮説ダメじゃん」と思うだけ。

 

基本的に検査法とは、理論的な前提に沿ってその方法が構築されるものです。

しかしその理論がかなり怪しい

ここに挙げられている17種だけでなく、その他も含めた既存の検査法を信じることが出来なかったからこそ、つまり既存の仙腸関節理論を簡単に受け入れなかったからこそ、私は論文など書き、その結果として仙腸関節の魅力に取りつかれたのだというパラドックスに、いまこれを書きながら気が付きました(笑)。

それらしく書かれた論文を鵜呑みにするような人間にならなくて、心底良かったと思う。

 

次!

Three-Dimensional Movements of the Sacroiliac joint:A Systematic Review of the Literature and Assessment of Clinical Utility(Adam Goosde,Eric J Hegedus,Philip Sizer,Jr,Jean*Michel Brismee,Alison Linberg,and Chad E Cook)

前提の統一されていない研究のレビューです。

SIJの動きは非常に微小であるため、徒手による外からの判定は事実上不可能であることが示唆されています」とありますが、動きが非常に微小であるとする根拠は、前回疑問点を指摘したRSAによる計測結果です。

 

レビューされた論文の中で、ひときわ大きな可動域を計測したのがSmidtの研究、Sacroiliac motion for extreme hip positions.A Fresh Cadaver Study.(Smidt GL, Wei SH, McQuade K, Barakatt E, Sun T, Stanford W.SPINE Volume 22, Number 18, pp 2073-2082 1997,)。

この研究では、死後24時間以内防腐処理されていない新鮮な遺体(男性4人、女性1人。年齢は52〜68歳)の骨盤にマーカーを埋め込み、股関節を屈伸させた際の仙腸関節の動きをCTを使って計測し、角度3~17°直線運動4~8mmという他よりも大きな可動域を計測しました。

 

Goosdeは「この結果は標準誤差が大きい」ことと「この方法は骨盤の安定性の影響を排除できたため、調査結果の臨床的適用性を潜在的に低下させた」といまいち釈然としない理由で却下していますが、私から見ると、他の研究よりも数段価値ある研究のように思えます(とても興味深い内容なので、また機会をあらためて紹介します)。

そして著者のSmidtもやはり、「仙腸関節の上部(cranial end of the sacroiliac joints)での直線的な動きは非常に小さく、動きの方向に関しては不定(variable)でした」「これらの結果は、鋭敏な触診と観察のスキルを持つクリニシャンにとっても、仙腸関節非対称の徒手検出はありえないことを強く示唆しています」と残念な見解を述べています。

でも、ここすごく大事なポイント!

 

私はもちろん、このSmidtの意見には反対

仙腸関節の非対称性の観察に鋭敏な触診力は必要ありません。

小学校の高学年レベルなら観察自体は充分可能

 

最後。

Manipulation does not alter the position of the sacroiliac joint.A roentgen stereophotogrammeric analysis.(Tullberg T, Blomberg S, Branth B, Johnsson R. 1998)

マニピュレーション前後で仙腸関節の位置関係に変化はなかった」という論文です。

ここではいわゆるカイロ用語である「サブラクセーション(≠亜脱臼)」という単語が使用されています。

この研究で用いられているテスト。

ポジショナルテストとして①Crista height機能テストとして②Vorlauf testRücklauf testAdduction testPatrick’s testDerbrolowsky testInferior lateral angle palpation疼痛誘発テストとして⑧Forward rotation testBackward rotation test腸骨筋の触診の計10種類

それにしても仙腸関節の検査法、たくさんありますねぇ(笑)。

しつこいようですが、私はこれらの検査法は一つも使いません、一つも。

必要性も感じない。

 

使用されたマニピュレーションは「thrust」を基本とし、そこに「locking technique(すみません、これ、分かりません)」と「muscle energy technique」が追加されたということです。

どうせならスラストだけにして欲しいですし、説明も足りない。

この論文に関しては他にも突っ込みどころは満載です。

その詳細は長くなるのでやめておきますが、要約すると、検査と矯正との間に一貫性がないということです。

こういうところがダメなんですよねぇ。

 

ちなみに私、理論的な話をする際に「ズレ」的な表現は使いません。

そして基本的に、「正常」の話しかしません。

レントゲンで異常が分かるなら、カイロなんてとっくに認められてるよね、といつも言っています。

 

ついでに言えば、私の検査は施術前のみです。

施術後も大して変化していないだろうと思っています。

その左右差自体を「異常」とは思っていないので。

 

ところで、ここで紹介されているすべての論文のどこを読んでも、「開いてるのかな~、閉じてるのかな~、どうなのかな~」的な記述は一文字も見つけられませんでした。

こうなると、ここの部分はもう完全に捏造

そして岩吉氏は「仙腸関節アプローチをしたいなら歩け!」と自信たっぷりに言っていますが、その根拠を教えて欲しい。

サイエンスで、是非。

 

良くも悪くも、言葉は残ってしまうものです。

自分が吐き散らかした言葉のどこか一つにでも目立つ綻びがあったとき、他にも同じような綻びがあるんじゃないかと疑われてしまうのが、言葉の性質。

厄介なものです。

発言は慎重にしないとね。

 

あ、そうだ、彼はこの動画の最後、「皮神経」に話を誘導します。

たしかに仙腸関節付近や関係する皮神経領域の症状であれば、その可能性はあるでしょう。

しかし、私の臨床では、仙腸関節はむしろ遠隔への影響が強い関節で、頚部や手首(特に尺側)などには高い再現率で症状を緩和させます。

こっちは自律神経?それともDNIC(広汎性侵害抑制調節)?

百歩譲ってそれが自律神経やDNICだったとしても、それが一時的ではない改善につながるんだったらいいんじゃないかと思うけど、ダメなのかい?

 

私には、こうした飛躍はまったく的外れな印象操作に見えます。

そしてこういう動画を観て、サイエンスという言葉に右往左往する同業者がいるとしたら、私にはその感覚がさっぱり分からない。

 

さて、ここまでの論文で分かるのは、既存の理論の不確かさです。

徒手検査も既存の仮説に基づく運動学も、これまでの研究に肯定的な結果はほとんどありません

それは事実。

しかし私は、その研究方法ごと疑っています。

既存の仮説はおかしいと思っているので。

左右軸上での回転と並進という既存の仮説を前提に検証を行って、それがまったく証明できないのであれば、いい加減その仮説自体を疑った方が良いのではないかと私は思う。

 

少なくとも、私が日常的に観察している現象と研究結果は、まったく一致しません。

研究デザインにおける理論的な前提に重大な誤りがあるからだと思います。

なので、これをサイエンスの答えだと言われても、納得することは出来ない。

しかも私が見ている現象は、再現も共有も可能な現象です。

サイエンスが間違ってるんだと思う

 

サイエンスって、自然現象を再現可能な方法で観測し、その中にある法則や規則性を発見すること、ですよね。

自然を科学で解き明かそうと試みるとき、そこに間違いがあるとしたら、それはいつだって科学の方です。

自然には正解も不正解も、正しいも間違いも、正常も異常もない

ただなんらかの法則に則って、黙々とその役割を果たしているだけ。

 

仙腸関節には自然の法則としての左右差がある、と私は確信しています。

仙腸関節の左右差自体については、否定派であってもある程度の合意は得られるはず。

現在も、世界中でその左右差の検出方法のゴールドスタンダードを探し続けている。

それを機能障害と見做して。

 

私は仙腸関節の左右差は正常な機能(function)だと考えています。

しかし多くの検査法は機能異常(dysfunction)の検出を目的としたものです。

もともと機能としてある左右差は、その機能を強調することで、その特徴を客観的に捉えることが出来ます。

しかし正常は左右対称で、非対称は機能障害という前提では、左右差の強調は検査を阻害するファクターとなります。

functionを調べるテストとdysfunctionを調べるテストには大きな違いがある。

functionを強調すると、個人差も含めた規則的な機能としての左右差が見えてくる。

 

DNM JAPANのサイトに「骨格には個人差と左右差があるので、ランドマークとしては疑わしい」というコラムがありますが、それはまさに左右差の存在を認めたコラムです。

左右差があり、非対称だから疑わしい」のではなく、「その左右差と非対称性そのものに意味がある」と私は考えています。

 

仙腸関節はどうやら動きそうだ」「そこには非対称性がある」「ヒトには利き手があり、動作は左右対称ではない」。

この3つが揃えば、そこには何か規則性があるんじゃないか?と推測するのが自然ではないですか?

非対称に使ってきたから、またはそう使えるように、左右差がある、と。

私はそこに不自然な飛躍を感じないのですが、どうでしょう?

 

その証明にレントゲンMRICTも必要ありません。

簡単な検査で、誰にでも分かります(もちろん不明もありますが、それは「不明」と判断します)。

サイエンスが仙腸関節のメカニズムを解明できないのは、その正常な機能としての左右差という視点が欠落しているからだと思う。

 

仙腸関節には機能的な左右差がある

それは自然に数多ある法則のうちの一つとして、ヒトの身体が持つ自然の法則に則った機能として存在する。

その機能が過剰になれば、その影響もまた、なんらかの法則に従って他へと波及する。

しかしそれは異常ではなく、正常な反応として表れる自然現象の一つ

 

仙腸関節の法則が分かると、脊柱全体の左右差との関係性も見えてきます

仙腸関節を起点とした左右差という「歪み」が見えてくる。

同じものを見ているはずなのに、見え方が変わる。

 

その左右差が過剰にならないよう監視するのが神経系の役割。

過剰になれば「痛みという警告」を発するのは正常な機能

おかしな話ではない。

 

異常」なんて、人間様の都合に合わせた勝手な解釈でしかないような気もする。

自然はただ、なんらかの法則に従って、静かにその役割を全うしているだけなのだと思う。

自然の一部である人間の身体も。

サイエンスで解明されていることなんて、そのほんの一端でしかない(偉そうなこと言ってゴメンナサイ)。

 

自然には正常も異常も正しいも間違いもない。

間違えるとしたら科学、つまり人間の方です。

サイエンスだって間違える。

もちろん私も。

 

サイエンスのサの字もない大昔から、粛々とその役割を果たし続けている仙腸関節の仕組みを私は知りたい。

仙腸関節ほど面白い関節はないと断言できる。

何十年か何百年か分かりませんが、世界中の研究者を惹きつけている宝探しはいまも続けられている。

 

ちょっとサイエンスエビデンスだと言われたくらいでうろたえるようなら、私は徒手療法などやっていない。

世界中のアンチや著名な研究者が相手でも、私は仙腸関節は正常な機能として「歪む」と臆せず主張するし、目の前で堂々と「骨盤矯正」を行う。

まったく恥ずかしいことでも、後ろめたいことでもない。

 

機能としての左右差を前提とすれば、歪みは「必然」。

知れば知るほど、本心からそう思う。

その矯正法を求めるのもまた「必然」。

すべてひっくるめて、「自然の法則の中」のようにも感じる。

自然医療って、そういうことではないかなぁ。

 

セラピストは(医者も科学者も)「歪み」を軽視せず、もっと注意と関心を向けるべきだと思う。

そしてまず、骨盤の「歪みの定義」を明確にする努力をすべきだと思う。

いまは「骨盤の歪み」に関する認識は個々人で違い過ぎていて、統一感がまるでない。

それぞれが何を否定し、何を肯定しようとしているのかさえ、私には明確でない。

 

でも、その責任の多くは我々の側にあって、もし腸骨の後下方変位(PI)があると主張したいなら、それを誰にでも「見える」形で示さなければ議論にすらならない、というより出来ない。

既存の仮説ではそれは難しいだろうと、私はずっと思っている。

しかし仮説を変えれば、それは不可能ではなくなる、とも。

なぜなら、「仙腸関節はまったく動かない」という論文も、「左右対称である」という論文も、私は見たことがありませんので。

 

結局最後はこの話になりますが、仙腸関節のメカニズムは、まだ不明なのです。

私にとっての「サイエンスの答え」はコレ。

運動軸も定義されず、前提も統一されないまま研究が行われ、議論が続けられている。

批判も否定も大歓迎ですが、私にとって多くの批判はその論点がアバウトに感じてしまうのは、そうした前提が共有されていないことが原因だと思う。

とても残念。

まずは前提を統一するところから始めて、そこから介入の是非も含め、広く議論すればよいと思う。

 

歪み」って、徒手療法の原点だと思う。

その原点の原点が「骨盤にある」と私は本気で思ってます。

骨盤の歪み」を知ることで、今まで見えなかったものが見えるようになる。

そしてそこには、バイオメカニクスを発展させる多くのヒントが隠されている

マジです。

 

ということで、仙腸関節塾では批判大歓迎のアンチ枠と同時に、研究対象として仙腸関節に興味があるというドクターや研究者にも特別枠をご用意しております。

興味のある方は、ご連絡ください。

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