レアケースから考える私の仕事の本分について

昨夜、静岡の帰りに立ち寄った近所のコンビニで患者さんに会った。

とても気になっていた方だったので、「その後どうですか?」と声をかけた。

「あぁ、どうもどうも。手術しました。ありがとうございました」とのお返事。

 

この方はこれまで何度も腰痛での来所歴有りで、わりとあっさり改善してきた方。

3か月ほど前、2年振りに来られた際も、「またですか?」「またです」といった感じのお馴染みさんです。

よくあるパターン。

 

主訴はいつもと同じ左の腰痛(一か月前から)。

しいて違いを言えば、これまであまりなかった軽度の下肢症状があったこと。

L2-3左起立筋に著明な筋緊張有り。

前屈が特に痛む。

施術後、症状はほぼ改善。

 

しかし翌日、「午後、椅子から立ち上がろうとしたらまた痛くなってしまった」「かなり痛い」「心配なのでみて欲しい」との電話があり、来所。

かなり痛そうでした。

左臀部から左大腿部前面に疼痛(自発痛および安静時痛有り)。

慎重に施術。

施術後は疼痛半減するも、いつもの腰痛とは様子が異なるので「なるべく早く病院で検査を」とお伝えしました。

心配だったので、二日後にこちらから電話。

総合病院の整形外科を受診し、MRIを撮影したとのこと(その時の診断は確かヘルニアだったと記憶)。

「経過が気になるのでなにかあったら連絡ください」と伝えて今日に至る(約3か月)。

 

そして昨夜、偶然コンビニで再会。

「ヘルニアでしたっけ?」と尋ねると、「いえいえ、腫瘍でした」と。

「え~~~っ!?」

脊髄腫瘍(良性)だったそうです。

最初のMRIは精度が悪くて確定できなったとか。

 

画像を見せていただいたり、診断過程をお聞きしたり、少しだけお話をして最後は「まぁこう言うのもなんですが、良かったですね」と言うと、「本当にありがとうございました。病院に行けと言われて良かったです」とお礼を言われましたが、ほっとしたような、最初に気づけず申し訳ないような・・・。

 

施術前にもっと注意を払ってレッドフラッグに気付くべきだったことなど、十分承知しています。

この方はこれまで何度も施術していて、そのたびに良好な反応を得ていたので、「今回も」という油断がどこかにあったと思います。

しかも一度目の施術では、十分な変化が出ていました。

しかし翌日の施術では、症状は軽くはなったものの、取り切れない痛みといつもとは違う違和感が最後まで残りました。

 

その違和感を押し殺せなかったので、「なるべく早く病院へ」とお伝えしたわけですが、それは逆に、この方がこれまで良好な反応を示していたという経験からくる違和感だったのかもしれません。

いつも通りの施術をしていつも通りの反応がない、この結果こそ、すべての答え。

 

基本的に私は、自分では病気の判断などしません(出来ません)。

その立場にないと強く自覚しているからです。

もちろん様々な可能性を考慮はしますが、あいにく分からないことだらけなので、判断はプロである専門医に委ねる方針です。

 

今回のレアケースを通して、あらためて私の仕事の本分を考えてみた。

私の仕事は主に骨格を最大限「安全」に、より「正確」に、整えること。

決して診断を下すことでも、痛みや病気を治すことでも、粘ることでも通わせることでも施術を押し付けることでもない。

結果として思うような変化が出ない時には、「これは骨格の歪みからくる問題ではない」と、可及的速やかに「認める」こと。

自信をもってその鑑別をすべく努力を今後も積み重ねること。

それ以上でも以下でもないってこった。

 

異論反論批判、すべて甘受。

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