ユニバーサル・カイロプラクティックカレッジでの講義も頚椎に入り、あともう一息です。
頚椎の運動学は複雑で、もう何年も前から真剣に考えなければと思いながら、なかなか手が付けられずにいます。
先日はストレートネックに関する疑問(いちゃもん?)の話をしたのですが、納得してもらえない人もいたようです。
ストレートネックは頚部痛や肩こり、頭痛などの原因となる、と言われていますが、なぜそれらの症状を誘発するかの合理的な説明を聞いたことはありません。
推測するに、「整形外科等に上記の症状で来院しレントゲン撮影をした方の多くがストレートネックであった」といった点に起因しているのでは、などと思われます。
僕自身、かなり前ですが、一度ひどい頚部痛を起こしレントゲンを撮ったことがあります。 その時にもやはり「ストレートネックですね」と言われています。ただ、それが原因、と言われた覚えはないのですが。
その時に気付いたのは、レントゲン撮影の時に、技師さんから「顎を引いてください」と指示される、ということです。 つまり、撮影された頚椎のレントゲン像は、顎を引いた状態のものだということです(かなり痛かったので、しっかり引けていたかどうかは定かではありませんが)。
みなさん、いま可能であれば、そこで顎を引いてみてください(できれば背筋も伸ばして)。 首がまっすぐになっていると思いませんか?
僕はストレートネックとは、「顎をひけば首が伸びる」という、それだけのことだと思うのです。はじめから伸ばして撮っているんだからストレートになるだろうと。
例えば「肘を伸ばした状態」で撮ったレントゲンを見ても、ドクターは「ストレートエルボーですね」とは言いませんよね。
僕はあまり「理想的なカーブ」「理想的な姿勢」みたいな考え方を好みません。その型にはめれば痛みがなくなるとも思えませんし。頚椎の状態だけを見てそれを言う、というのも意味はないように思います。なのでこれまでストレートネックにはあまり興味もなかったわけです。
そうは言うものの、よく知りもしないで疑問を呈するというのもあれなので、この機会にいろいろと調べてみると、ストレートネックというのはただ単に首がまっすぐだということではない、という見方もあることが分かりました。
頚椎の前彎(第一頚椎と第七頚椎椎体のなす角度)が30度以下に減少しているものをストレートネックとする、というものもあるのですが、頚椎前彎の減少に加え、頚椎が前方へ傾斜しているものをストレートネックとする、という考え方もあり、ここに厳密な定義はなさそうです。
さらには40代以下の女性の30%、20代女性に限ると46%にストレートネックは認められるとの調査から、これは異常ではないとする見解もあるようです。
論文検索でも、ストレートネックと症状とを結びつけるこれといったものは出てきませんでした(オペラ歌手に多い、なんてのはあるけど)。 やはり、特に根拠はないようです。
ちなみにPubMedでは「 straight neck」や「military neck」ではなにもヒットしませんでした。
残念ながらストレートネックは、研究対象としては一般的ではないようです。
とりあえず次回につづく
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