親父の生き様

最近の中学生には「職場体験」なるものがあり、まあ多くは身内の職場へ見学に行くのだろうけど、うちの二男もこの夏休みの課題にそれがあって、親の仕事を見学した、ということにしたので(?)、それを手伝った。

手伝ったというのは、その体験記のようなものをA3用紙にまとめて提出するというのが課題なのだけど、それのほとんどが職場の人へのインタビュー。

つまり子どもの課題というより、うちの場合、親の課題(笑)。

その内訳は、「仕事内容」「その仕事に必要な資格や免許」「その仕事を選んだ理由」「その仕事をしていてつらいことやうれしいこと」「中学一年生へのアドバイス」といったもの。

各項目300字以上という決まりがあり、それなりのことを書かなければ埋まらないので、それなりに真面目に答えた。

これまであまり仕事について話すこともなかったので、いい機会だったかもしれない。

で、答えながら、いろんなことを思った。

特に「その仕事に必要な資格や免許」。

カイロには公的な資格はないので、基本的には「必要なし」である。

これは普段からいろいろと思うところではあるけど、一言で言えば、制度の不備である。

カイロに資格や免許はないから、だれでも自由に開業できるんだよ、とは言いたくないし、大人として言ってはいけない、と思う(なにせ内容は誰が何と言おうと「医療」であるのだから)。

そこで、これまでの自分自身の経過と考えを、ウソ偽り脚色なしに答えた。

まず、日本で認められている医療系の国家資格を取得するために3年以上(我々のころは2年以上)の専門学校(または大学)へ通い国家資格を取る。

次にカイロの専門教育を最低でも2年以上(当然毎日)。

その後少なくとも3年程度の研修期間が必要である。

これだけでも、開業までには最低でも8年かかる、と。

すると次男は、「げっ、8年もかかるの!?」と、少し引いていた(そんなに簡単な仕事に見える?)。

その他整骨院ではなく、カイロプラクティックを選んだ理由も、かいつまんでではあるけど、伝えた(研究の面白さ、興味と疑問を持つことの大切さなども話した)。

ぼくは山梨で開業するまでに、整形外科での経験も含め、12年以上を費やした。

それでも別に長いとは思わないし、当然必要な年数だと思う。

簡単になれると思う方がおかしいし、簡単にできる仕事になんて人生を掛ける価値はないと思っている。

自分自身の経歴はカイロプラクターとしてはエリートではないし、それほど誇れるようなものでもないけれど、それでも思うのは、求人広告とかにあるようなカイロだか整体だかボディケアだか知らないけど、「手に職を!」「不況に強い!」「副業に!」「空いてる時間に高収入!」「短期間で修得可能!」「未経験者大歓迎!」みたいな、つい「風俗か!」と言いたくなるようなところで学んだものじゃなくて、本当に良かったと思う。

もしそうだったら、こうして息子に仕事のことを語れなかっただろうと思っている。

そして、息子が今後そういう安易な道を選ぼうとしたときに、意見できなくなるだろう。

子供に親の仕事に対する姿勢を見せるということは、社会の中でのおのれの生き様を見せるようなものだと思う。

なにか感じてくれただろうか。

ムリか?

コメント

  1. 関西の「S」 より:

    素晴らしい。
    私も昨年長男が生まれましたので、先生のように息子に語れるようなりたいです。

  2. 吉岡一貴 吉岡一貴 より:

    Sさんお久しぶりです。
    ありがとう。お元気ですか?
    そしてお子さんご誕生、本当におめでとうございます!
    まったく業界も世の中もこれからどうなっていくかわかりませんが、せめて子供に見られている背中が恥ずかしいものではないようにありたいですね。

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