動画公開の意義とその先 -徒手療法の独自性-

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H30年11月3日,4日開催

 

動画を撮り始めた理由はあきらかに宣伝目的で、それ以外、これほど手間の掛かる作業をわざわざ増やす理由は見つかりません(笑)。

しかし動画の本数も症例(症状)数も増えていくにつれて、その目的も徐々に変わりつつあります。

 

基本的に私の動画は初検時の導入部分の編集で、主に仙腸関節(と脊柱)に対する「吉岡メソッド」による症状の変化を中心に紹介しています(撮影してはいませんが、それ以外の施術も行っています)。

映像部分に関して、編集による誤魔化しや小細工はありません。

事実をありのままに伝える手段として動画以上に有効なツールを私は持っていないので、それを活用しています。

さらに実際の臨床での変化以上の有効性の示し方も思いつきませんし、出来ません。

 

ご覧の通り、吉岡メソッドは完全なワンパターンです。

どのような症状に対しても、仙腸関節に対するアプローチから始まります。

それぞれの症状に対応した調整法があるわけではなく、あくまでも理論に沿って仙腸関節にアプローチしています。

そもそも私は症状を追いかけ回した結果として仙腸関節に行きついたのではなくて、仙腸関節を追い続ける過程で、幅広い症状との関係性に気付いただけです。

なのでその点に関して言えば、私の施術は「対症療法」ではなく「対仙腸関節療法」です。

症状を一つの指標として、仙腸関節(その他)の正常化を目指しています。

 

カイロをはじめとした徒手療法の本質を、対症療法や痛み治療に求めるべきではないと私は思っています。

症状を追いかけ回していても切りがありませんし、行き詰ります。

痛み治療の先端は、やはり西洋医学に任せておくべきです。

私たちがそこに近づこうとする必要も、競う必要もありません。

私たちには私たち独自の身体観や健康観に基づいた社会との関わり方があるはずです。

それが私の場合、主として仙腸関節にあるということです。

 

そんな私がそれなりに苦労して書いた論文を発表してから、もう15年以上の月日が流れています。

これまで何本も仙腸関節に関する論文を発表してきましたし、学会やセミナーなどで持論を展開する機会にも恵まれています。

しかしそれで仙腸関節を取り巻く状況に何か変化が生じたかというと、残念ながら一切ありません。

さすがに学会内では私の「仙腸関節好き」は周知となっていますが、私が伝えたい仙腸関節の魅力の一割も伝わっていないような気もします。

当然社会的な評価などありません。

ゼロです。

議論にすらならない。

この状況は、今後論文を何本書こうが変えられないと思います。

もちろん論文など無意味、と思っているわけではありませんが。

 

「仙腸関節は全身に影響を与える!」

と、こんなことをいくら力説しても、「エビデンスは?」で終わってしまうのが今の社会です。

書くのも言うのも自由ですが、第三者は証拠がないものを容易に信じてくれません(医療関係者は尚更)。

魑魅魍魎の跋扈する業界です(笑)。

「エビデンスは?」となるのは当然と言えば当然。

では吉岡メソッドはどうかというと、「科学的」なエビデンスなどありません。

しかし、こうして動画で実例を示すことは出来ます。

動画は、ある面で論文を簡単に越えてしまう力を持つと私は思っています。

「論より証拠」「百聞は一見に如かず」「一目瞭然」で、言葉を尽くす以上に、映像は事実を雄弁に物語ってくれます。

 

動画で「仙腸関節が与える全身への影響」を紹介しているつもりですが、「仙腸関節でなんでも治る!」わけではありません。

腰痛一つとっても上手くいかないことはありますし、中には再現性の低い症状もあります。

紹介している症例に関して、もっと効果的な手法もあるだろうとも思っています。

しかし「仙腸関節へのアプローチが及ぼす広範な症状への影響」という点で、これまでにあまり例のない報告集になっているはずです。

これだけ広範囲に渡る症状に対してダイレクトに変化を与えられる関節は、仙腸関節だけだと思います。

こうした事実を伝えるのもまた、論文よりも動画の方が有利です。

 

動画で示している事例は事実です。

そこそこ客観性もあると思います。

中には疑う人もいるかもしれませんが、事実です。

こうして仙腸関節が全身に影響を与えることを実例として示し続ければ、患部やその周辺への対策の前に仙腸関節をチェックすることの必要性や、仙腸関節自体の重要性を少しは感じてもらえるだろうと思います。

同じ現象を頻繁に観察し、仙腸関節と全身との関係性を実感できるようになれば、次はそこへの影響因子に自然と関心は向かうはずです。

仙腸関節を安定させるにはどうしたらいいか、という目的を持ちながら。

「How To 症状」ではなく、ホリスティックな視点で。

それこそが徒手療法の独自性、本質ではないかと思います。

 

このような現象は、何も仙腸関節に限ってみられる特別なことではありません。

徒手療法を深めれば、誰もが行き尽く自然な成り行きです。

私の敬愛する施術者たちは、頭蓋であったり膜であったり脳であったり体液であったり、症状に囚われず異常を追求しています。

そして症状の変化という事実を積み重ねています。

信憑性は、その現象に高い再現性があるかどうかで判断するしかありません。

そのためには論文も必要ですが、徒手療法の場合、臨床動画の方が手っ取り早いと思うのです。

 

いまの徒手療法に必要なのは、外向きのアピールであると感じています。

今年で20回目を迎える日本カイロプラクティック徒手医学会の学術大会ですが、そこでは毎年熱心な会員による研究発表が地道に続けられています(10月6日7日は学術大会です。参加しましょうね)。

では20年続けて何か変化が起きたかと言えば、まぁいろんな変化はありますが、社会の徒手療法に対する認識にポジティブな変化はないように思います。

なにかを変えるためには、まずは社会に気付いていもらう必要があります。

仙腸関節でいえば、とりあえず、「仙腸関節には特別な何かがある」と興味を抱かせるような働きかけが必要です。

もし社会に「仙腸関節の調整は必要だ」という認識が広がっていけば、今の状況が変わる可能性も高まります。

そのためには、仙腸関節矯正でこのような変化が起こる、ということを示し続けるしかないような気がします。

糖質制限が社会に認められたように。

(社会の認識が変われば、学会活動もさらに活性化するように思うのです。)

 

西洋医学でも東洋医学でもない、マッサージでも柔道整復でも鍼灸でも理学療法でもない、他のどの職域も侵害せず、競合もしない。

単なる痛み治療でも対症療法でもない独自の健康観と身体観で、症状ではなく正常、理想を追う。

そのような路線が、私が思い描く徒手療法の姿です。

この先動画が百、千と増えていけば、それなりの「エビデンスらしきもの」になるのではないかと期待しています。

こうしたブログやSNSは社会への強力な発信源です。

批判もあるかもしれませんが、私はこれからも出来る限り、動画での情報発信を続けていくつもりです。

まぁ大変だけどね。

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