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動画では主に仙腸関節および脊柱に対する吉岡メソッドの効果について紹介していますが、実際の施術はそれだけで完結するものではありません。
私の施術の柱はいつも紹介している「吉岡メソッド」と、膜系のリリースの二本柱です。
私が山梨に帰郷し開業した当時(17年前)の施術は、リリース一本でした。
この手法はとても穏やかで、老若男女、またどのような症状に対しても対応可能で、しかも使える施術者が少ない手技ですから、私は「これさえあればやっていける」と信じて疑いませんでした。
内圧変動を利用したリリースは、一般的に徒手療法では高度な技術の部類に入ります。
通常は、他の徒手療法よりも上位に位置する手技と考えられています。
したがって、骨盤脊柱その他に対するアプローチを修得した上で、さらなる高みを目指して取り組むような手法です。
私もそのつもりでした。
一通り脊椎矯正などは出来ていた「つもり」でしたし、それでは対処しきれない問題に対応出来るのがこうしたリリーステクニックだと思っていましたから、それなりに自信を持って開業したわけです。
しかし、現実はそう甘くはありませんでした。
もともと刺激の少ない手技ですから、患者さんに理解されず、受け入れてもらえないこともありました。
また当然ながら、それだけですべて解決するわけでもありません(もちろん技術的にも未熟だったんでしょうけど・・・)。
ちなみに開業当初から、先日紹介した「上腕二頭筋長頭腱炎」とか「石灰沈着性腱炎」などは一度で改善させる程度の技量はありました。
しかし動画で何例か紹介しているぎっくり首やぎっくり腰など急性痛は苦手で、「どうにもならない」という苦い経験を何度もしています。
その悩みを解消してくれたのが、仙腸関節です。
山梨で開業した当時(2000年)から仙腸関節の研究は行っていて、ある程度形になったのが、2003年頃です。
理論が先で、矯正法はその少し後に生まれました。
それが吉岡メソッドの原型です。
それから私の施術成績は、飛躍的に向上しました。
対応できる症状の幅も大きく広がりました。
そしてそれは年々向上を続けています。
つまり私は、難易度が高いと言われるリリースよりも後に完成した、非常にシンプルな矯正手技に助けられてここまで来ています。
動画をご覧になれば、症状自体、吉岡メソッドのみでほとんど改善してしまっているものが多くあることが分かると思います。
リリースは主に、その状態を維持し、全体のコンディションを高めることを目的としています。
カイロでは、「自然治癒力」という言葉がよく用いられます。
私もそれを信じていますし、基本的には、「自然に治る状態」が最善のコンディションだと考えています。
さて、いま、自分自身の歩みを振り返ってみると、面白いことに気づきます。
カイロを修得した直後は、自然治癒力(=イネイトインテリジェンス)を重視して、症状改善のための過度な追求をしていませんでした(できなかった、という方が正しいかも)。
当初の目的は主にサブラクセーション、いわゆる原因となる椎骨の異常を正すことでした。
しかし目の前の痛みを抱える患者さんを、まるで変化の無い状態で帰すことに対する大きな抵抗は、簡単にぬぐえるものではありませんでした。
その問題の解決策をオステオパシーやリリーステクニックに求め、ある程度の手ごたえを得ました。
しかし現在、そうした手法こそ自然治癒力の源を賦活させる手技として用いて、それとは反対に骨盤脊柱の矯正を、症状への対処法として主に活用しているのです。
繰り返しになりますが、普通は逆なのです。
脊柱や骨盤の矯正手技に限界を感じて、より繊細な手法へと関心が移るのです。
手技に関しても、通常は技術から入り、それに合わせて理論が展開されます。
それも私は反対で、理論を追求した結果、技術がついてきました。
おそらく、ほかの施術者とはまるで違ったルートを辿っていまここにいます。
リリースと吉岡メソッド、どちらも私の施術には欠かせない二本の柱ですが、一つ言えるのは、リリースだけではここまで辿り着けなかっただろう、ということです。
施術のメインはやはり、独自の仙腸関節矯正法「吉岡メソッド」なのです。
塾の受講生はリリースに関心を寄せる方も多いですが、それよりも仙腸関節を極めた方が、よほど見返りは大きいよ、ということを伝えるために、こんなことを書いてみました(笑)。
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