ベストとベター

歩行も含めた身体動作において脊柱骨盤帯の動きは非対称的で、それは機能的な合理性に基づいている、と僕は思っています。つまり、非対称な方が都合が良いわけです。

一方で、脊柱の左右非対称な歪みを矯正することで身体を正常な状態へと戻そうというのが、我々の職業的な目的の一つです。

こう書くと矛盾していると感じるかと思いますが、動作では非対称が都合がいいのだけれど、休息や回復という点では動きは対称が望ましいというのが、現在の僕の考え方です。

したがって、僕の考える身体のベストなコンディションとは、運動時には機能性を優先し非対称的に、休息時には対称的に動く身体、ということになります(詳しくはHPを隅々までご覧ください(笑))。どのような状態をベストとするかは、各施術者の考え方による違いはありますが。

さて、患者さんの中には様々な事情で身体の一部が正常な状態へは戻れなくなっている方がいます。

そのような方々には、我々が思い描く理想を押し付けることができません。

またそのようなケースでは、通常パターンでの施術には良い反応を示さず、お互いが思うような結果が得られないことがしばしばあります。

そんな時に大事なのは、症状の原因を見極め、その状態での最善、つまりベストではなくベターな状態へと導くことかと思います。

そこでとりわけ重要になってくるのが、機能的な動きの左右差であるように思います。

臨床的には左右差を改善させることが症状改善につながるケースが多いのですが、その左右差を改善できないような問題がある場合には、左右差を改善しようというアプローチはかえってあだになってしまうことがあるようです。

時にはその左右差を強調し、意識的に左右非対称な動かし方をしてもらうことで可動域が大きく改善することがあります。そしてそれに伴い、QOLも向上します。

患者さんの身体には様々な事情がありますから、すべて我々の理想通りというわけにはいきません。そうした事情を考慮しながら、時には一歩引いて、ベストではなくベターを目指すということも大切なのかもしれません。

もちろん我々自身はどのようなう事情があってもベストを尽くすわけですけど。

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