前回は「仙腸関節がニュートラルな位置(中間位)にあるときには、非常に不安定な状態にある」ということを書きました。今回はその続き。
仙腸関節は左右下肢への力学的な伝達に関わるので、それらに柔軟に対応するためには、中間位にあるときには自由で不安定な状態でなければなりません。
この時関節を安定させる構造的要素は見当たりません。そして荷重状態にある時(立っている時や座っている時)には、左右の荷重バランスは決して均等ではありません。荷重バランスは常に変化しているのです。この時仙腸関節は、不安定に動き続けていることになります。
つまり、ゆらいでいるわけです。
重心動揺計などでの計測を見る限り、人の場合は荷重が一点にとどまり続けることはなく、間断なく前後左右にゆらいでいるのが分かります。
これをあえて例えるなら、「シーソー」のようなものですね。左右に同じ位の体重の者同士が座って遊んでいる状態。
ではここで、「安定」を考えてみましょう。
仙腸関節をシーソーのようなものとして安定を考えてみると、まず一つに、左右のバランスが均等な状態を考えることができます。左右に座った二人の体重に1gの狂いもなく、均衡のとれた状態。
しかしすでに述べたように、仙腸関節がこの状態で安定していては(固定されていては)、仙腸関節は機能しないのです。繰り返しになりますが、この状態の仙腸関節は非常に不安定なのです。だから、これは却下。シーソーだって、それでは楽しくないですよね。
もう少しかかりそうですので、今日のところはこれまで(笑)。
次回は別の視点から安定状態を考えてみます。
コメント
お疲れ様です。
いつも楽しく拝見しております。
今回の「ゆらぎ」も改めて先生の授業を思い返しながら(もう3年も経ってしまったんですね…。)、興味深く拝読させていただきました。
続きを楽しみにしております!
宮田さん
コメントありがとう。
そうか、もう3年も経つんだね。
仙腸関節論も最近はあまり大きな進歩もないけど、この「ゆらぎ」は一つのポイントになると思うんだよね。
今年の徒手医学会にはゆらぎの講演もあるからお楽しみに!
お手伝いよろしくね。