「付け焼刃」
付け焼刃は刀鍛冶用語で、切れ味の良くない刀に鋼(はがね)の焼き刃を付け足したものをいった。
切れ味が良く長持ちする刀は何度も地金を打って作られるが、鋼を足しただけの付け焼刃は、すぐに切れなくなり使い物にならなくなってしまう。
そこから、にわかに覚えた知識や技術を「付け焼刃」と言うようになった。
語源由来辞典より
仙腸関節塾を開講するにあたり心がけたいのは、「決して付け焼刃にはさせない」ということ。
巷にはインスタントなテクニックがあふれていて、受講者もそれを求める風潮がある。
そうしたセミナーばかり受講しては中途半端な知識で実践し、みるたびに、あれ、また違うことやってる、なんて思う同業者を知っている。
要するに、どれも付け焼刃なのである。
付け焼刃でも、まったく切れないわけではない(表現としては怖いなぁ)。
しかし、しょせん付け焼刃。すぐに切れ味を失い、また次の刃を探す、ということが繰り返される。
良くあるパターンである。
たまらないのは、掛かるたびにいろんな刃を試される相手、つまり患者である。
プロであれば研鑽するのが当たり前だけれど、一貫性のないセミナーを受講しまくって、「日々研鑽を怠りません!」とわざわざアピールするような人は、裏を返せばどれも身に付いていないということでもある。
様々な手法があふれる現代だからこそ我々はスペシャリストを目指すべきで、各地域にそれぞれのスペシャリストが存在する、というのが理想なのだと個人的には思う。そもそも全ての手法をマスターする、あるいは出来ると考えることなど、おこがましいと思うから。
20代のころ、付け焼刃を探し求めたぼくは、30代以降、地金からなるべく不純物を排除しながら刀身を作り直し、焼きを入れ、叩いては砥ぎを繰り返し、いまに至る。
当然、求め続けているのは付け焼刃などではなく、名刀。
そのために必要なのは、強靭な刀身。それが理論であると思っているのです。
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