どこからでも

時々、遠方から施術を受けに来られる方がいます。

しかし基本的には、遠方の患者さんはお断りしています。

往復にかかる身体的負担を考えると、施術がプラスになるとも思えなかったからです。

そうした理由をご理解いただいたうえで、それでもどうしても、と言われる方についてだけお受けしてきました。

なので、お断りすることの方が圧倒的に多いのです。

もうひとつ、遠方からの来院でよくあるケースとしては、同業含む医療従事者ご本人の施術依頼です。

HPを見て、「一度受けてみたい」と連絡が来ます。

そういう場合は、遠方からでもまず断りません(なぜか関西方面が多いのだけど)。

純粋な「患者」ではないということと、あの文字だらけのHPを隅々まで目を通して興味を持つ方は、依頼にも熱意のようなものを感じるので、お断りする理由が見つけられません。

で、今回は、また違ったケース。

同業者ですが、本格的な患者でもあります。

また、知り合ってからはそれなりに長いお付き合いです(具合が相当悪いことも知っていました)。

先日も北陸セミナーでお会いしたばかり。

富山の方です。

富山からは車で4,5時間。

同業者ですが、移動時間を考えて、やはり一度お断りしました。

でもどうしても言われるので、それではとお受けしたのです。

ご夫婦で来られ、少し観光も楽しまれて元気になって無事帰宅されたようです。

Y先生、遠いところ、わざわざお越しいただきありがとうございました。

消極的ではありながらも、うちにはこうして遠方から来られる方が時々いるのです。

これまででもっとも遠かったのは、池袋でもやっていた時ですが、宮崎からでした。

その方は実際に宮崎-東京間を何度か通われて、元気になって今は海外生活を謳歌されています。

東京や神奈川などからは、定期的に来院される方が現在もいます。

私が心配している「往復による悪影響」というものは、いまのところありません。

これは私の取り越し苦労だったのかもしれません。

何が言いたいのかというと、これまでの経験を振り返ってみると、移動距離は積極的にお断りする理由にはならない、ということです。

ご同業の方なら分かると思いますが、こういった治療院というのは、近所だから来る、というものではありません。

近所の人がどんどん来てくれるだろう、という考えは、意外と通用しなかったりもします(もちろんまったく来ない、ということではありませんが)。

また逆に、遠方にもかかわらず来たいという方は、「遠いから」ということが選択の理由であるはずがありません。

その距離に関わらず、ご本人(または身内)がその理由を見出した時に、「行きたい」と思うのです。

身体の問題というのは、大袈裟ではなく人生に関わる大問題だからでしょう。

健康な私には、その感覚がよく分かっていなかったのかもしれません。

以前、北海道まで治療に通っていた、という方がいました。

滋賀の方です。

その方は息子さんと一緒に泊まり込みで施術に来られました。

そして施術はその時限りでした。

他に原因がある可能性が高そうだと判断したからです。

それをご指摘したところ「原因に近づけた気がする」と、治りはしなかったものの喜んでいただけました。

つまりまったくの無駄足にはならなかったわけです。

その方は北海道まで「通って」いたほどですから、近場の医療機関をはじめ治療院には行き尽くしているのです。

そして、それでもあきらめきれないのも、患者の心理であり権利でもあるといえます。

もし私が力になれるのであれば、断る理由などありませんし、全力を尽くさなければなりません。

来るか来ないかを決めるのは、私ではないのです。

選んでいただけると言うことは、それだけで有難いことです。

もうひとつ、メリットもあります。

山梨はど田舎ですが、そんなど田舎な山梨が私は好きです。

大都市に比べると経済規模も小さく、景気も良いとは言えません。

そんな山梨に、その数は少ないとは言えども、県外から人がやってくるというのは間接的な地域経済への貢献にもつながるのではないかと思うのです。

まぁそんなことも含め、これからは、遠方の患者さんでも快くお受けしようと思っています。

そう思えるようになったのも、今回いらしてくれたY先生のおかげかもしれません。

これもご縁ですね。

あらためまして、Y先生、ありがとうございました。

次回もまた、全力でお手伝いさせていただきます。

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