学術大会後記その5

初日が無事に終わり、二日目へ。

二日目は初日に引き続き、吉沢公二先生によるワークショップからスタート。

二回目は「発達障害治療について」。

吉沢先生によると、アメリカでも現在発達障害児が増加の一途のようで、障害を持つ家庭の医療費は相当な額に上るという話でした(年間3000ドルだったかな)。メディカルでは投薬がほとんどで、リタリンの使用量もそれに比例して増加しているとのこと。

講演では、左右脳の機能の特徴や役割、脳の発達過程とそれぞれの段階で必要とされる刺激、そうした発達に遅れが生じた場合に起こりうる問題、原始反射が残存した場合に起こりうる問題の可能性など、初日同様、大変貴重な知見を非常にわかりやすく解説していただけました。

ケーススタディでは発達障害を抱える9歳の男の子の症例を紹介していただき、これも初日同様、なぜその刺激が必要なのかを論理的な解説とともに紹介され、またもやその驚くほどの効果に会場全体が引き込まれるほど素晴らしい講演でした。

この患児はバイオリンを習っていたのですが、改善していく過程を拝見していて不思議に思うのは、それまで楽譜が読めなかったのに、それが突然読めるようになったと親御さんが驚かれていたというところ。こういうのは、どう解釈したらよいのでしょう? 不思議です。

また、低下している領域の機能を向上させるために必要なのは、出来ないことをトレーニングさせることではなく、その領域に関する機能の中でできることを伸ばしてあげた方がよいと指摘されていましたが、これはまさに子育てそのもの。出来ないところを指摘してもダメなのね。うちの奥さんにもよく言っておこう。

臨床機能神経学を用いた治療法での発達障害の改善率は81%とのこと。驚異的な数字です。こうした治療法がさらに発展し普及することは、今後問題を抱える患者や家族にとって大きな福音となることでしょう。ただし、これをきちんとマスターするにはかなりの勉強が必要です。

今回吉沢先生には二日間連続でワークショップを行っていただきましたが、前日に来日されたばかりで時差ボケや疲労もあったにも関わらず大変精力的な講演をしていただき、感謝に堪えません。今回の学術大会の盛り上がりは、吉沢先生の講演によるところが大きかったものと思われます。

参加された方は非常に満足されたことでしょう。なによりも、私自身がとても勉強になり、大きな刺激となりました。

招聘していただいた大場弘先生、また、招待をご支援いただいた穴吹弘毅先生にも、こころより感謝申し上げます。

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