このブログでももう少し積極的に仙腸関節について述べていこうと思うので、今回より、新たなカテゴリーとしてこの「仙腸関節論」を付け加えました。
そんなわけで、今日から早速。
仙腸関節について現在どれくらいのことがわかっているかというと、これはもう解剖学的なこと以外はほとんどわかっていないといっても過言ではありません。
例えば、仙腸関節の運動学。
私たちが仙腸関節に問題があると判断した場合、その関節の機能に障害が生じていることを意味します。
では、仙腸関節の正常な機能とは・・・?
関節の動きには様々なものがあります。中には複雑な動きをする関節もありますが、指のように屈曲(曲げる)と伸展(伸ばす)という単純な運動のみで構成される関節もあります。このような場合、屈曲できない、または伸展できない、という状態が機能障害です。
それでは、仙腸関節はどうでしょう?
まず仙腸関節の正常な動きはどのようなものかというと、これは同業者でも意外と知らない人が多いのですが、一般的には仙骨の「うなずき運動・起き上がり運動」と表現されます。
これは言葉通りで、ひとがお辞儀をする時のような動きを「うなずき運動」、そこから元に戻る動きを「起き上がり運動」と言います。少しでも勉強していれば、これくらいは知っているでしょう。
で、すべての理論は、この仙骨のうなずきと起き上がりを前提として構築されています。
現在このうなずき運動起き上がり運動に関して、その機能軸はどこか、動きの範囲はどれくらいかなど、様々な理論があり、結論は出ていません。
多くの教本やスクール、セミナーなどでは、そのうちのいずれかの理論を用いて講義が行われ、受講生の多くはその理論を正しいものとして受け入れていきます。そう教えられるんだから、当たり前ですね。
で、問題はここから。
今のところ、「仙腸関節はどうやら動いているようだ」という計測データはあるのですが、理論の大前提である仙骨のうなずき運動起き上がり運動ともに、これまで正確に観測されたことがありません。
これはどういうことでしょう?
誰一人として、実際にうなずき運動起き上がり運動を起こしている仙骨を、見たことがないのです。
つまり、仙腸関節がそう動いている、という証拠はいっさいないのです。面白くね?
これまで世界中のいろいろなところで、仙骨の回転軸はこれだ、とか、この方向に動く、とか、バラバラの主張がなされ議論がなされています。が、すべての前提は仙骨のうなずき運動と起き上がり運動です。
でも、誰もその動きを見たことはない。おかしくね?
つまり、現状では、すべての理論の前提となるうなずき運動起き上がり運動自体が「仮説」なのです!
なので、本来なら「仙骨はどう動く?」というところから解析を始めなければいけないのです。
このように、いまのところ仙腸関節の運動学については全く分かっていない、ということがお分かりいただけたでしょうか?
もしこれまでの前提が誤りだった場合には、その先につながる仮説のすべても誤りだということになってしまいます。やばくね?
巷には宣伝文句があふれ、いまやほとんど一般化した感のある骨盤矯正。でもその内実は、まるで不明。
皆さんは、この現実に何を感じますか?
嘆かわしいと思うこともありますが、それよりも、私はやっぱりロマンを感じるんですよね。
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